マーダーミステリーの世界へようこそ

マーダーミステリーの世界へようこそ

林 霄鈞

林 霄鈞

2020年12月18日

株式会社アークライト
「純白の悪意」翻訳者

自分が好きなものを、
もっと広めたい

マーダーミステリーとのご縁

どうもみなさま、初めまして、林(リン)と申します。大学時代に『純白の悪意』を和訳したのがきっかけで、マーダーミステリーの制作と関わり始めました。今は株式会社アークライトで、マーダーミステリーやボードゲームの仕事をやっています。

今回は少し、自分とマーダーミステリーのご縁について話したいと思います。

 

 

  • マーダーミステリーとの出逢い

マーダーミステリーというジャンルのゲームを知ったのは、2017年の終わりか2018年の始めくらいの頃。YOKA GAMES(『純白の悪意』の版権元、中国で最も大きなボードゲーム会社)で働いていた先輩に、中国のボードゲーム業界について色々と教わっているなかでのことです。自分は大学4年生で、就活にだいぶ苦労していました。せっかく日本にいる中国人として、日本と中国両方の面白いものを互いに向こう側に持っていき、広める仕事をしたいと思って相談したのです。その流れで「人狼ブームの次に、最近中国で流行っているアナログゲームはありませんか?」と聞いたところ「マーダーミステリーというのがあるのよ」と教えてくれました。

具体的にどういうものなのかを知るため、勧められた『明星大探偵』というネット番組を視聴してみました。簡単にいうと、芸能人や俳優を6~7人を集めて、マーダーミステリーをやる番組です。スタジオを、リアル脱出ゲームのように飾りつけ、手がかりもカードではなく、実際にスタジオ内に置いてあるベッドや机、パソコンやスマホに隠されたものとなります。

私はすぐその番組にハマり、春休みに帰省する折、初めてマーダーミステリーを体験しました。偶然にもその時体験したのは『漆黒の鎌鼬』でした。その後、店員さんから一般販売の『純白の悪意』という前編(ストーリー上は後日談)があることを教えられ、その場で購入して日本に持って帰りました。

 

 

  • 日本でもマーダーミステリーをやりましょう!

単位がほぼ全部取れた大学4年生は暇な時間が多く、週2~3回のペースで大分のボードゲームカフェJOGOさんにお邪魔していました(大学は別府でした)。

大分のボードゲーム人口はそんなに多くはなく、平日に満席となることも多くはありません。それを逆に活かして、定期イベントのない曜日に、マーダーミステリーを導入できるかもしれないと考えて、店長のタクトさんに紹介しました。この話は順調にまとまり、2018年6月に、JOGOで体験会を開催することに決まりました(最初は休業日を利用しました)。

そこで私は、マーダーミステリーを甘く見すぎていたことを気づかされました。こんなに大量の情報を、母国語ではない言語に翻訳するのはとても大変でした。それに新しいゲームジャンルで初めてのGM。不安と不足もいっぱいありました。それでも優しい参加者たちのおかげで、ゲーム自体は破綻なく無事に終わりました。全員ゲーム体験に好評で、私に自信を与えてくれました。「マーダーミステリーは、日本でも流行る!」と再度信じることができました。

実際その後も、東京で『王府百年』を発端として、マーダーミステリーというジャンルがどんどん皆の視野に入ってきました。

 

 

  • マーダーミステリーをもっと広めましょう

私の就活は、無事にアークライトの内定を取ったことで終わりました。あいだでは色々バタバタしましたが、2019年の4月、ようやく正式入社しました。

だいたい同じ時期、ディアシュピールの川口さんが、大分のボードゲームカフェJOGOもマーダーミステリーをやっていると知って、『王府百年』と『純白の悪意』の翻訳を互い交換しました。私はタクトさんからそう聞かされて、やはり日本でもマーダーミステリーの可能性は大きいと確信しました。

そこで私は、会社にマーダーミステリーを新しい企画として提案して、すぐに許可が下りました。『純白の悪意』と『漆黒の鎌鼬』は私の原点であるため、もちろん最初はYOKA GAMESと交渉し、その優秀な作品を輸入することを計画しました。

会社の事情やコロナの影響諸々で、制作スケジュールはだいぶ遅れてしまいましたが、先月から『水面下の殺意』を始めとして、『純白の悪意』と『漆黒の鎌鼬』も、順に公演できるようになりました。

今や日本の市場でも、優秀なマーダーミステリーが数多く出始めています。『六花が空を覆うとき』など、中国に逆輸出した作品も現れました。本当に嬉しい限りです。

 

 

  • 終わりに

コロナ禍でマーダーミステリーの発展もかなりダメージを受けましたが、私はそのポテンシャルを信じています。マーダーミステリーは、これからも色々な形態で、様々な場所で、多彩な物語で、人々を呼び寄せることでしょう。

一緒にマーダーミステリーを盛り上げていこうではありませんか!

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